みなさま、こんにちは! 料理家、発酵マイスターの榎本美沙です。この連載では、出張で立ち寄った醸造所、旅先の道の駅……などなど、私がさまざまなところで出会った、魅力的な〈発酵フード〉を紹介しています!気になる発酵フードがあれば、ぜひぜひお試しいただけたらうれしいです。 手間ひまかけて、ていねいに発酵させた『リコッタチーズ』 今回ご紹介したいのは岡山県・蒜山(ひるぜん)高原にあるイルリコッターロのリコッタチーズ『リコッタフレスカ』。私が現地におじゃましたのは2年ほど前のこと。蒜山の森の中にたたずむチーズ工房では、店主の竹内さんが黙々とチーズを作られていました。 イルリコッターロを代表するチーズのひとつが『リコッタフレスカ』。竹内さんのリコッタチーズは、牛乳に酸を入れて簡易的に作る方法ではなく、チーズ作りの副産物〈ホエイ〉を発酵させる、本格的なもの。南イタリアの伝統的な作り方を学ばれて、その方法で作られています。時間と手間はかかる方法ですが、それによって発酵の風味と食感が生まれるのだそう。こちらがそのリコッタチーズ。 とってもかわいいこのパッケージは、竹内さんや奥さまがご自身で描かれたもの!中にはざるが入っていて、少し傾けて水けをきります。(ちなみに、このホエイもおいしくて栄養たっぷりなので、捨てずに飲んでくださいね‼)そして、器に移すと…… なんとも柔らかでふんわりとしたリコッタチーズが出てきます。まずはひと口そのまま食べると、とってもミルキー!ジャージー牛のミルクが濃く、ほどよい塩けが甘みを引き立ててくれます。さわやかながらこくのある風味は、手間をかけて作るからこそ起きる〈発酵〉によるもの。食感はふわっとお豆腐のようで軽やか、次々と口に運びたくなる味わいです。 絶品! リコッタのおいしい食べ方 そのまま食べてもおいしいリコッタチーズ。リコッタチーズというと甘みのある味つけにすることも多いのですが、ほどよく塩けのある、このチーズの私のイチオシの食べ方はこちら! スライスしたカンパーニュに、たっぷりとリコッタチーズをのせて、オリーブオイルと香りのよい粉山椒をひとつまみ。カンパーニュの小麦の香りとリコッタの甘み、オリーブオイルの風味に、山椒がアクセントになり、とってもおいしいんです! ぜいたくなおやつチーズ「トミーノフレスコ」 イルリコッターロでは、いろいろな種類のチーズを作られていますが(どれもおいしく、パッケージがかわいい!)、この『トミーノフレスコ』もおすすめ!『トミーノフレスコ』とは、「小さいフレッシュチーズ」という意味。ジャージー牛乳をじっくりと乳酸発酵させた、さっぱりとしたチーズ「トミーノ」に、ドライフルーツがたっぷりつけられています。私はそのマンゴーが大好き! 色鮮やかなセブ島のマンゴーは、甘みと酸味があり、さわやかなチーズと相性抜群。ランダムにカットされていて、食べるたびに味わいが変わるのがまた最高です。マンゴーはチーズの水分を吸ってちょっと柔らかく、そのぶんチーズはぎゅっと凝縮されて濃厚な味わいに!なめらかな舌ざわりで、そのまま食べても絶品ですし、クラッカーにのせるのもおすすめ。 ぜひチーズ好きのみなさまには味わっていただきたい、イルリコッターロのチーズです!さて、今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!次回は5月25日更新の予定です。また次回も楽しみにしていただけたらと思います。 今回紹介した発酵フード チーズ工房『IL RICOTTARO』ジャージー牛ミルクのリコッタフレスカ内容量:220g 価格:1266円(税込み)https://ilricottaro.thebase.in/items/7087629トミーノフレスコ マンゴー 内容量:140g 価格:1250円(税込み)https://ilricottaro.thebase.in/items/26866827 榎本美沙料理家・発酵マイスター。発酵食品、旬の野菜を使ったシンプルなレシピが好評で、テレビ、雑誌や書籍へのレシピ提供、イベント出演などを行う。 YouTubeチャンネル「榎本美沙の季節料理」、 Instagram(@misa_enomoto)も人気。最新刊『二十四節気の心地よい料理と暮らし』(グラフィック社)が好評発売中。その他の著書に『ゆる発酵』(小社)、『発酵あんことおやつ』(主婦と生活社)、『榎本美沙の発酵つくりおき』(家の光協会)など。最新刊『榎本美沙のひと晩発酵調味料』(主婦と生活社)が好評発売中!