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おいしい魚介を産地から、食卓へ!銚子の若き仲卸が挑戦する「キンメの輪切り」

日本の海の幸をもっと味わおう! と2022年にスタートした株式会社ジェイアール東日本企画の「&fish(アンドフィッシュ)―魚がつなぐヒトとミライ―」。漁師、仲卸、加工メーカーといった産地で水産業を支える生産者たちが、消費者と直接つながる、さまざまな挑戦を応援するプロジェクトです。
※農林水産省(水産庁)の補助金交付を受けて、株式会社ジェイアール東日本企画が事業を行っています。

私たち消費者にとっては、おいしい魚介を生産者さんから直接届けてもらえる、うれしい&おいしいチャンス! 今回は千葉県・銚子漁港の若き仲卸が挑戦する「キンメの輪切り」をご紹介します。いいキンメの見分け方も教えてもらいました。

INDEX

日本屈指の漁港、銚子が誇る「つりきんめ」

日本一早い朝日を望めることで有名な千葉県・銚子の犬吠埼。その目の前に広がる海は日本屈指の漁場として知られています。沖合で、南からくる黒潮と北からくる親潮がぶつかるためとれる魚種が豊富なうえ、潮の流れが速く魚の身が引き締まっているのが、ここの魚がひと味違う理由です。

そんな銚子漁港を代表するブランド魚が「金目鯛」。通称「キンメ」です。日本広しといえども、休漁期がなく(他の産地の多くは8月が休漁期)一年を通じて1kg級の大物が揚がるのは銚子だけ。つりきんめをねらう「キンメ船団」なる組織もある、まさにキンメの本場なのです。

キンメって鯛じゃないの? 深海魚!?

キンメは名前に「鯛」がつきますが、真鯛や黒鯛などのスズキ目タイ科とは異なり、キンメダイ目キンメダイ科という別の魚種。水深200m以上の深海にすむ深海魚です。しかも、銚子沖のキンメは回遊せず巣をつくってすむ珍しい特性を持っています。生息域をねらって深海まで糸を垂らして釣り上げる「銚子つりきんめ」はとりわけぜいたく品とされています。

3世代、家族経営の仲卸の商店が
初めての商品づくりに挑戦!

カネ八商店は、銚子漁港第一卸売市場の目の前に加工場を構える、江戸時代から続く魚の仲卸。現在は、祖父、父、息子の3世代での家族経営のもと、キンメはもちろん、マグロ、カツオ、ヒラメ、太刀魚、マルカニ、ヤリイカなど幅広い魚介を扱っています。

これまでは豊洲市場などにしか出荷していませんでしたが、今回、初めて個人向けの商品を開発。それが「銚子つりきんめの輪切り」です!500gサイズの身を3分割の輪切りにして1パックにして特殊凍結保存。頭や内臓はきれいに落とされているのですぐに調理できます。

ぼくらと同じように
家庭的な「煮つけ」で食べてほしくて

商品づくりをまかされたのは、4代目にあたる弟の宮崎啓太さん。「キンメは高級魚で、刺し身ももちろんおいしいですが、地元では甘辛い煮つけで食べることも多いです。ぜひ全国のみなさんにも自分たちと同じように家庭的に味わってほしくて」と、あえて、煮つけ用の輪切りを考案。

キンメは皮や骨からいいだしが出るのも魅力。煮つけならそのうまみを余すところなく味わえます。

「ちなみに、うちの母ちゃんのキンメの煮つけはけっこう甘めです。じいちゃんはいつも、残った煮汁にお湯を注いで飲み干しています(笑)。キンメはほんとにいいだし汁が出ますから」

特殊凍結で、キンメのうまみを逃がさず届けます

都内のロボット開発会社で働いていた啓太さんは、2022年、約10年ぶりに実家に戻り、家業を手伝いはじめました。「自分はデジタル系が得意なのでWEBサイトやSNSを始めたんです。直接個人のお客さんたちとつながる道筋ができたので、次はオリジナル商品をつくってみたいと思いました」

商品を開発するにあたり、キンメの細胞膜を破壊せずにむらなく冷凍できる特殊凍結マシンを導入。解凍後もドリップが出にくいため、うまみや風味が失われません。

「実際に試食して味の違いに驚いて導入を決めました。かつてないほど、うまみを保ったままキンメを食卓へ届けることができるんです!」

いいキンメは、目とおなかの色、
腰まわりで見分ける!

「この1年でひととおりの仕事は覚えたけれど、入札の値つけがむずかしい。その日の市場の相場を『浜値』って言うんですけど、兄貴とかは浜値を読むのがうまい。自分は『謝り札』を入れて値つけを変更させてもらったりしてますから、まだまだです」と啓太さん。とはいえ、もちろんキンメの目きき。いいキンメの見分け方を教えてもらいました! 「見分けのポイントは目とおなか。鮮度が落ちると、目がにごり、おなか全体が白くなっていきます。全身がこのように真っ赤だったら新鮮な証拠です!」

すると、通りかかった父の都央(くにお)さんがつけ加えます。「冬場もおいしいけど、じつはいちばんの旬は産卵期前の7月だな。いいときのキンメは腰まわりがでっぷり身が詰まってる」と教えてくれました。傍らでは、兄の優太さんがマグロのあらを積んで出かけていきます。頭や骨は飼料にリサイクルするとのこと。海の恵みが無駄なく活用されていました。「うちは兄貴がアイディアマンで。人脈やデジタル技術を生かして形にしていくのが自分。銚子のしょうゆを使ったキンメの煮つけだれセットや、落とした頭を有効活用して『キンメ出汁のラーメン』も作っていきたいねって話しています。これから、いろいろ挑戦していきたいですね!」 お祖母さまのご友人が昔描いたという真っ赤なキンメの絵が見守るなか、カネ八商店の新しいチャレンジが続いていきます。「&fish」のポータルサイトでは、カネ八商店さんのように水産業の現場で挑戦する生産者たちを紹介しています。たくさんのおいしい魚介&素敵な物語に出会えますよ!

\「&fish」のポータルサイトはこちら/



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協力/株式会社ジェイアール東日本企画


撮影/平田景子 取材・文/峯田亜季

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